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無教養音楽批評

* ジャズ編その2 *

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*To Sweden with Love, The Art Farmer Quartet fearturing Jim Hall, (Art Farmer, Jim Hall, Steve Swallow, Tete LaRoca / Atrantic 1430).
    アート・ファーマーが吹く楽器はフリューゲル・ホーンという管楽器。私にはどんなカタチの楽器なのかよく分かりません。ただ音色からすると、含みのあるくすんだトランペットのような感じです。哀愁ある音といえるでしょうか。

    ジャケットには麦藁色の髪をしたアイシャドーの濃いお姉さんが含みのある笑みを浮かべているというものです。スウェーデンというと、とくに60年代半ばというと、やっぱりアレなイメージなのでしょうか。しかし、それでは誇り高きスウェーデン国民に悪いのではないだろうかといろいろと悩んでしまう。さて、曲は北欧州の片田舎の時間が止まったような遅い午後の風景を思わせます。寂しさにふと足を止めると遠くから誰かの子守り歌が聞こえてくる、そういうアルバムです。



* Concorde, The Modern Jazz Quartet (Milt Jackson, John Lewis, Percy Heath, Connie Kay / Prestige LP 7005).
    さあ、It's Cool Time! とってもオシャレでクールなMJQのアルバムです。バロックを連想させる端整さと涼やかさがいいです。もちろん、演奏は時に盛り上がりを見せたりします。でも「それは、それだよ」と自らの盛り上がり具合まで客観視したかのような全体の抑制がかっこいいですねぇ。こういう大人になりたいものです。



* Quiet Kenny, (Kenny Dorham, Tommy Flanagan, Paul Chambers, Art Taylor / Prestige New Jazz 8225).
    ああ、だめだやっぱりこのアルバムの1曲目を聞いているとルパン三世の絵が浮かんできてしまう...。私の想像力の限界が見事に露呈していますね。もしかすると、私のジャズ原体験とルパン三世は強い関係があるのかもしれない。小学校で音楽の教師をやっている(た?)叔父が立派なステレオとジャズの全集を持っていたことと、その叔父の所に出入りしていた頃、私がルパン三世が大好きだったことが関係しているような気がする。

    さて、曲について。聴きどころはトミー・フラナガンの気を配ったピアノとケニーのトランペットの押さえた情感がうまく噛んでいるところでしょうか(←分かってんのか?オレ)。録音について言えば、ケニーのトランペットがまるっきり右のスピーカーから聞こえてくることから分かるようにマルチ・モノで録音されています。そのへんちょっと気になります。とくにトランペットは音の指向性が強いから。



* Summer, George Winston (BVCW-707).
    またウインダムヒルのジョージ。ステレオが真空管式になってから、キンキンしたピアノの音がマイルドになったので、「Autumn」がイケるようになりました。で、「Summer」も買ったと。

    うーん。私の印象の中の「夏」は亜熱帯的な宮崎の夏ですから、ジョージの夏とはちょっと違うようです。地元のTV局であるMRTで盛んに高中正義の曲をBGMに使いまくっていたことも影響して、私の「夏」は高中の夏ですね。でも、このアルバムを夏以外に聴こうという気にならないあたりが、このアルバムが紛れもなく「Summer」であることを証明しているような気がしますね。



* Art Pepper meets The Rhythm Section, Art Pepper (Red Garland, Paul Chambers, Philly Joe Jones. VICJ-2098).
    私のページでは初登場のアート・ペッパー。どんなサックスを吹くのかと思ってましたら、端整で落ち着いてますね。バックもしっかりしてますが、熱くはないです。BGM的かも。もうすこし熱い演奏の方が私は好きです。



*Undercurrent, Bill Evans & Jim Hall (TOCJ-5972).
    湖の水面を女性が漂う姿を水中から撮影した、というなんとも象徴的になにか意味深そうな写真をジャケットに使ったアルバム。演奏は内省的で沈思的です。ビルの繊細なピアノが、ジムのエレクトリック・ギターと答えのでない問いかけを繰り返しているような印象です。とびっきり質の良いステレオで、深夜に小さな音量で愛でてみてください。



*Like Someone in Love, Ella Fitzgerald / Frank DeVol and his orchestra, (POCJ-2615).
    エラおばさんのアルバム。いやあ、いいです。これ。落ち着きますし気分が和らぎます。繰り返して聴きたくなります。愛聴盤決定ですね。でも、録音がどうも曖昧。エラおばさんがちゃんとセンターに立ってなかったりする。私のステレオが悪いのか、そういう録音をしているのか。



*Love is ... The Tender Trap, Stacey Kent, (Jim Tomlinson, Colin Oxley, David Newton, Dave Green, Jeff Hamilton, TECW-25766).
    MJに掲載されている寺島靖国さんのJAZZ評で絶賛されていたので、新しい録音のボーカルものもあった方がいいよねぇ。と思って買いました。が、うーん、寺島さんのいう「吐息」というようなものは、こういうものを意味していたのですか...。という感じ。吐息というよりは、少し鼻にかかった元気のよいお姉さんのハツラツボーカル、という感じなんですけど。アルバムとしての良し悪しはもう少し聞き込んでから。でもエラおばさんには足元にも及ばない。



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to Critique 白田 秀彰 (Shirata Hideaki)
法政大学 社会学部 助教授
(Assistant Professor of Hosei Univ. Faculty of Social Sciences)
法政大学 多摩キャンパス 社会学部棟 917号室 (内線 2450)
e-mail: shirata1992@mercury.ne.jp