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Pre-Amplifier: 芦沢プリアンプ

Ashizawa Pre-AMP

前のページでも紹介したオーディオサークル「Faraday」の芦沢さんとこに遊びにいったら、チョーかっちょいい機械があったので「これ何?」って聞いたら「プリアンプだよ。もってく?」ということでした。で、借りてきて真空管式 6V6GT Single アンプの前につなぎました。あら、びっくり。プリが入ったおかげで音像がくっきりして、生き生きとした音になりました。

理屈から言えば、CDPとPowerAmpの間に余計なものが入ったわけですから、信号は劣化するはずです。ところがプリが入った方が音が良い。芦沢さんにその秘密を尋ねてみると、要するに、CDPの出力段のOpAmpがそれ以降の素子を充分にドライブするだけの能力があるかどうかにかかっているらしいのです。

仮にCDPに充分なドライブ力があれば、CDP -> Power直結がいいに決まってます。しかし、CDPにはトランスポートを駆動し、D/A変換をやる、というそれなりに大変な仕事があるわけで、出力段のOpAmpを理想的な状態で動作させるのは大変らしいのです。そこで、このプリアンプ(セレクタも、トーンもついてないから、バッファ・アンプというべきかも)で「Hi受け、Low出し」をすることでCDP側の負担を軽減し、逆にPowerアンプ側を強力に駆動する、というわけらしいです。

私は理屈より音。だって趣味なんだもの。私の奥さんの意見もあり、我が家でもっとも音の良い組み合わせは、この芦沢プリと6V6GT Singleの組み合わせである、という結論になりました。どんどんクラフト・オーディオに嵌まってますね。

ところが、この芦沢プリは借り物ですから、我が物にするためには買うか、作るかしかありません。「あのー、売ってくださいますか?」「ダメ。うっちゃらん。作りなさい。」というごく簡単かつ教育的な会話がありまして、私はプリアンプを作ることになりました。仕事が忙しいので、ボチボチ作るつもりです。完成まで、この芦沢プリを貸しておいてもらうことになりました。

さて、こうして書くと、この芦沢プリがどのようなものか、知りたくなっている人もいるでしょう。実はあきれるほど単純なものなのです。回路的にはBurrBrown社のOpAmp、OPA602CMがチャンネルにそれぞれ一つあるだけ。それにOpAmp回路の教科書に出てくるような部品がちょぼちょぼとぶら下がっているだけです。ただ、普通と違うところは、1) できる限り回路を短く組むこと、2)空中実体配線であること、3)厳密な1点アースであること、4)高音質部品のみを使用していること、です。

これだけでこんなに音がいいなんて。

来年の夏休みくらいまでには芦沢プリアンプ白田3号が完成しているといいなぁ、と思っています。そのときには、報告します。

Pre-Amplifier: 芦沢プリアンプ 白田3号

と書きましたが、実は完成しました。まだ写真が撮れてないので、製作途中の写真を。回路は完全ツインモノ構成です。アッテネータも左右で別。6接点のロータリースイッチに ヴィシェイ抵抗を奢ってあります。大音量で聞くチャンスなどないので、芦沢さんに頼んで、23接点アッテネータの抵抗値のうち、低い方だけ利用できるようにしたわけです。回路図をみてもらえばわかると思いますが、切り替えスイッチで6接点のアッテネータを12接点相当で使えるようにしてあります。

最初の計画では、BurrBrown社 のメタルキャン・タイプのOPA627BMという豪華なOpAmpを使って極めて小さく回路を組む予定でしたが、これがNG。原因調査中ですが、OpAmpが静電破壊あるいは熱破壊されている可能性もあるので、ぐったりしてます。ほんとに、ほんとにぐったりしています。

Pre-Amp
Pre-Amp Circuit

で、現在使用中の回路では、DIPタイプのOPA627BPを使い、サンハヤトの万能基板に組み付けました。こうして組んだら、一発動作です。というか、回路図をみてもらえば分かると思いますが、動かない方がおかしいほどシンプルな回路なわけで、どうしてBMで失敗したのか本当に不思議です。

電源部は別筐体としてあります。トランスを左右別に準備して完全に左右独立電源となってます。パワーアンプを駆動できるほどしっかりした電源にしてあります。電源部は、整流して三端子レギュレータで安定化しただけとなってます。回路図は以下のとおり。

Power Circuit

部品は奢ってあります。抵抗は全てヴィシェイ抵抗、入力カップリング・コンデンサは、サイデリアル、電解はニチコン・ミューズとなっています。ただ、一番お金がかかったのは実は筐体で、タカチのOSシリーズのケースを本体と電源部でそれぞれ買わなければならなかったので、大変でした。ついでに言えば、一番大変だったのも、ケースの加工。回路自体なら、2, 3時間で作成できると思います。制作費総額については、聞かないで下さい...。

肝心の音ですが、オリジナルの芦沢プリアンプと同じ傾向です。というか、両者ともOpAmpを使って、極限まで回路を単純化・最短化してあるわけですから、違う音になる要素があるとすれば、コンデンサの音くらいでしょうか。芦沢オリジナルでは、EROを使っています。まだヴィシェイのエージングが済んでいないので、やや硬く薄めに聞こえます。 プリアンプの効用は、既に上で書いたように音楽に力感がみなぎることです。私は、以前「プリアンプ不要・単純が最高」派でしたが、完全に宗旨替えして「CDでもプリアンプは必要」派になりました。信じられない人は、回路自体は単純ですから、基板だけ組んで試してみてください。全然違うことがすぐにわかると思います。


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