Antique Room
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Victor Audiola BR-32

Victor Audiola

突然アンティークというか、古いステレオの話。11月に実家に戻ったとき、亡くなった祖父の家に置きっぱなしになっていた古いステレオについて調べてみた。これは親父が若い頃に祖父の退職金で買ってもらったものだという。

特徴は、SPからLPに対応していること、そしてなにより、AM 2波ステレオ放送対応だということ。このAM 2波ステレオは、ステレオ放送の最初期に、2つの放送局をつかって、右と左のそれぞれの信号を放送していたもの。1波ステレオ放送にいたる実験みたいなものだ。このステレオはこれに対応しているわけで、ごく短い期間に製造された変わり種ということがいえると思う。だいたい1950年代半ばから後半にかけてくらいだろう。

こまかいスペックは、本体の裏側の木製の蓋に貼り付けられた回路図からうかがうことができる。日本ビクター製、シリアルは6132。ラジオ部はスーパーヘテロダイン方式でマジックアイ付き。増幅部は、前段12AV6終段30A5の二段増幅プッシュプル。最大出力は2.5W + 2.5Wだから、まあ、かわいいものだ。

回路は一応生きていて、コンデンサーの容量抜けが原因だと思われる盛大なノイズを吐きながらも、ちゃんと右チャンネルも、左チャンネルも受信可能な状態。棄てるのには惜しい。で、レストアしようかといろいろと調べてみたが、やはり良く分からないところがある。そこで、MJにも広告を出している「ばざーら」という、真空管ラジオやステレオを扱っているお店に電話でたずねてみた。

Inside View
Inside View 2 感じのよい、丁寧な語り口調の親父さんが対応してくれた。型番や状態を詳しく説明してみたところ、「うーん、残念だけど、レストアするほど価値があるものでもないねぇ」という返事。「ご近所でそういうのが好きな人がいたら、さし上げたら喜ばれると思うよ。」そうか残念。

アンプ部、とくに出力トランスとか、2連式バリコンとか、スピーカーとかは使い道がありそうだと思うけど、宮崎から狭い自宅に持ってきても置き場に困るしなぁ。 もし引き取ろう、というような奇特な人がいたら連絡ください。祖父の家の取り壊しくらいまでなら、そのまま取ってあると思いますから。今、アンティーク・ラジオが隠れた(といってもごく狭い世界だけど)ブームらしくて、中間周波数コイルとかバリコンが(ごく狭い世界で)高騰しているらしいので、見る人がみればそれなりに価値があるんじゃないかと思う。

しかし、感心するのはキャビネットの表面仕上げ。きちんとしたツキ板ニス仕上げで、音の良し悪しよりも、家具としての完成度の方が重視されていた様子がうかがわれる。個人的にはビクターのロゴや、この時期のステレオに記された金文字の感じなど、とても好きなので、パネルだけでもなんとか再利用できないものかと思案するが、どうにも現代のステレオとは収まりがよくないのは如何ともしがたいですね。


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