Listening Room '97
Hobby

Listening Room '97

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今年の2月くらいからですけど、秋葉原を拠点とするオーディオサークル Faradayに加入しました。分別のある中年(ちょっとひっかかるけど、僕ももう30だからなぁ)の楽しい集まり、ということらしいです。

具体的には秋葉原のラジ館入り口に向かって左側の通路を少し進んだあたりの「星野ビル」3Fにあるスピーカー工房コイズミの実験スペースを溜まり場にして、個人ではなかなかできないオーディオの実験をしようという会です。コイズミ無線がちょっとだけ関係していることからわかるように、江川系(ある意味では雑誌『AudioVillage』系)の人が多いのですが、私のように江川パーツを全然使わない人、高級部品改造派の人でも暖かく受け入れられます。

世話役のマルミさんは、「みんな勝手にやればぁ」という態度なので、喧嘩さえしなければ、何やっていてもいいみたいです。私なんかは雑誌で紹介されている「新しい技」の数々を体験して、「はあ、こんなもんですかぁ」と感心したりしなかったり、他の人の愛聴盤を聴いて、「あ、このCDのタイトル教えて!」と新しいジャンルへ展開する手がかりにしたりしてます。なにより秋葉原に拠点がある、という感覚が秋葉原派の私にはなんともうれしい。

ちなみにFaradayのメンバーは、都内数箇所で手に入る同人新聞「テレオス」の編集メンバーとダブってます。興味ある人は メールするか、175板橋区板橋西郵便局 局留 テレオス行 に連絡してみて下さい。役に立つ情報、くだらない情報、マユツバな情報がてんこもりの衝撃の新聞です。オーディオ評論家の権威にすがるか、素人の思い込みに身を投ずるか、あなたはどっち?!


CD Player: Marantz CD-17D (中古・改造: 写真下の機械)
右図は、上が改造前のCD-17Dの内部の様子。 下が改造後の様子。随分大雑把ですけど。

このCD-17Dは、1)ACケーブルを秋葉原にあるオヤイデ電気のACケーブルL/i-50直結に交換してあります。また2)銅板で高周波ノイズ対策を各所に施してあります。たとえば電源トランスは完全に銅板の箱で覆われてますし、筐体上部の蓋には銅板とブチルゴムの3層構造の振動・電磁波対策がしてあります。またデジタル・プロセッサの直上にも銅板でシールドが施されており、そのシールドはアースに直結されて部屋の外の大地アースに逃がしてあります。3)トランスや基板上の各種部品は、エポキシ樹脂で固化してあります。振動対策です。4)振動対策としては、このCD-17Dの筐体には4Kgの鉛コインが封入してあります。だから総重量10Kg以上あってとっても重いです。

図では、茶色の部分は銅板による高周波ノイズシールド、ネズミ色の丸いものは、振動防止用の鉛コイン、緑色の線は新たに追加したアースライン、水色の部分はエポキシ樹脂で固化したところを示しています。


マニアでない人には「なんでまたそんなことを」という素直な疑問が浮かぶでしょう。でも、音の落ち着きが違いますし、高い周波数でのデジタルノイズの悪影響(ボーカルの「サシスセソ」がざらついてキツくなる)が大幅に低減します。とくにL/i-50はデジタル機器にはぴったりだとおもいます。高周波ノイズがACラインに漏れるのを押さえてくれますから。

しばらくしてから、ACラインから侵入してくる「コモンモードノイズ」対策のために、ラインに対して、キャパシタ(容量)を噛ませてアースすることが有効であることを本で知りました。ACケーブルにシールドラインがあることは、この理屈と同じことになります。そこで、シールドラインを持たないオヤイデのケーブルに対して、普通のビニール線をラフにグルグルと巻いて、アースに落とすことで同様の効果を上げることを狙うことにしました。気休めかもしれませんが...(苦笑)。



Amplifier: AURA Design VA-80SE (中古・改造: 写真上の機械)

アンプは3代目にあたるAURA VA-80SE (だとおもう)です。2代目が秋葉原のダイナミック・オーディオ中古店にあった名機 Musical Fidelity A-1のぼろぼろ中古でしたが、引っ越しの直後に私には修理不能な状態で故障してしまいまして、このアンプに引き継がれました。音質はいまでもA-1の方が好みなのですが、そのA-1というアンプは上で目玉焼きが焼けるかとおもえるほど高熱を発する純A級動作のアンプでした。それは冬にはヒーター代わりになっていいけど夏には甚だ困るというアンプでしたから、夏にむけて涼しげな鏡面仕上げのフロントパネルを備えたAURAは適切な選択だったとおもいます。このAURAも中古。国立のAudio Unionにたまたま入荷していたので大喜びで買いました。前のA-1は修理しないとうまく作動しないほどぼろぼろの中古でしたが、こんどのAURAは状態のよい中古でしたので、改造は一切しないつもりです。


と書きましたが、やっぱり改造しました。もう病気ですね(苦笑)。右図の上が改造前の様子。下が改造後の様子。

フィンのついていない放熱器が、メイン基盤の左右に立っていたので、そこを銅板でブリッヂして基盤への振動と電磁波ノイズを遮蔽しました。銅板と放熱器は熱伝導グリスで熱結合してありますから、銅板は放熱も行います。また、AC入力から整流基盤までの間のケーブルがコネクタで接触しているだけだったので、半田付けしてしまいました(上下図の赤いラインが電源の流れ)。

もう一つ、重要な改造が入力セレクタスイッチのバイパスです。どうせCDしか聞かないから、音質を劣化させるだけのセレクタは不用です。この部分は、筐体後部のセレクタスイッチから6芯の平行線で筐体前部のテープスイッチに信号を送り、それからボリュームへ信号を送るという、とんでもない配線になっていたので(上図の青いライン)、これをテープスイッチおよびボリュームを乗せていた基盤ごと除去。1系統の音声信号入力があっさりとボリュームにつながり、そのままメイン基盤の音声信号入力につながるという配線にしました(下図の青いライン)。ここの線材は重要で、私はNS社の無着色ポリプロピレン被覆単線に銅箔テープをラフに巻きつけたものを使います。詳しくは後述。秋葉原の海神無線で売ってます。

このアンプの音声信号入力に関する改造は、A-1時代からやっていました。この改造をしないと私は、音楽聴きながら意識を失う(寝てはいないのだが、音楽に没入しているので曲を聴いているという意識がない)という状態に入れないのです。

しばらくしてから、AURAは音声信号に直列にボリュームが入っていることが気になり、ALPSのボリュームを東京光音電波のアッテネータ2P2511SR25に交換しました。これだけでも結構なお値段でしたので、私はけちって2dBステップの物にしましたので、微妙な音量調節ができなくなってしまいました。でも、ボリュームからアッテネータへの交換は劇的な音質向上につながりました。ボリュームがガリってきたら、アッテネータへの交換をお勧めします。 コンデンサも乗せ替えてしまいました。


また、このAURAはACケーブル交換式でしたので、低音がすごく良く伸びて明確になるEnsamble社のSonofluxというケーブルに交換してあります。このケーブルはすごいよ。見ためも直径もまるでガスホースのようです。たしか、直径は16mmあります。

断面は右図を参照して下さい。透明の被覆の下には銀色の編み線によるシールドが 見えており、その下は黒いゴムによる被覆、その下は紙で4芯のケーブルがまとめてあり、そのうちピンク色の2本はダンパーで残りの2本がほんとの導線という、厳重な構造です。振動しませんが曲がりもしません。なお、プラグはPass & Seymour社の「Legrand 3P」プラグに、コンセントは松下電工の医療機器用「WN1318」に交換してあります。

Amplifier: Musical Fidelity A-1 (中古→改造→ジャンク→復活)
2代目アンプのA-1が復活しました。引越しの直前に方チャンネルの音が出なくなるというトラブルにみまわれて、修理をあきらめてしまっていました。ただ、筐体とトロイダル・トランスがもったいなかったのでジャンクのまま取ってあったのです。それでこのジャンクをどうしようと眺めていたら、初段のOP Amp TL084CNからALPSのボリュームに伸びるリード線の一本がイモ半田ですっぽり抜けていることに気がつきました。で、これをつないで、仮組状態でおそるおそる音を出してみると、治ってます。

ああ、イモ半田一発で私はAURAを買う羽目になってしまっていたのですね。でもA-1は高熱を発するので夏にはつらいので、冬はA-1、夏はAURAと季節によってアンプを代えるということにしました。めでたし。

右図の上が改造前の様子。下が改造後の様子。

A-1は天板全体が放熱器の役割を果たすという仕組みになっており、筐体内部には熱伝導グリスを挟んでネジ止めされるアルミのブロック材が貫通しております。このブロック材の両脇に出力用のCAN トランジスタが4つくっついておる、という構造になっております。で、右側のツマミがセレクタで左側のツマミがボリュームなのですが、さすがに中古だけあってセレクタが真っ先にイカレました(上の図の青い線が集まっている部品)。そこでさっそくバイパス。下の図の赤い線のように入力は直接ボリュームに送られるようになっております。ここの線材は当然NS社の無着色ポリプロピレン被服単線です。シールドを被せず、細い銅箔テープをラフに巻きつけてシールドとします。秋葉原で秋にやっているクラフト・オーディオ・フェアで日本オーディオのデモやっている人から教えてもらった技です。

また、NiftyserveのFAV(オーディオ会議室)で、日本橋の逸品館のオーナーである清原さんからA-1の音質改善法を指南していただきまして、A-1の発する熱で劣化しているであろうコンデンサー類をすべて音響用Black Gateに交換しました。また、電源コンデンサ(トロイダルトランスの横の4つの丸)にはそれぞれシズキのフィルムコンを並列で入れてあります。これで音はすっかりリフレッシュし、というか、かえって改善され、いまではAURAより良い音を奏でています。細部まで見えるのですが暖かい音というのでしょうか。ジャンクがここまで蘇るというのは本当に嬉しいものですし、リサイクルにも貢献したことになりますね。ちなみにこれらの高級オーディオコンデンサに入れ替えても部品代は5000円程度。安いもんだ。


Musical Fidelity A-1復活記念に、もう一つACケーブルを作りました。一部で絶対の支持を集めているLINN Hi-Fiが販売している、屋内配線用あるいはACケーブル用の通称 Yellow Cableと呼ばれているものです。詳しいことは知りませんが、どうやらイギリスで普通に使われているAC配線ケーブルのようです。直径は12mmくらいでしょうか。

断面は右図を参照して下さい。ごく普通の3芯構造になっています。被服はやわらかめです。このケーブルにもPass & Seymourのプラグを使用しています。音は品位の高い「普通」です。これといった特徴がないのが特徴ということです。このYellowに比較すると、Sonofluxは、音像くっきりながら独自の艶というかふんわりした感じが色づけされているのが感じられます。わたしはSonofluxの方が好きですけど。


Speaker: JM Lab Micron Carat (上の写真の黒い箱)


10年以上使ってきたシスコンのスピーカーのツィータが壊れたので、96年の3月頃買いました。場所は国立のAudio Union。このJM Labという会社はフランスの会社でFoculという高級スピーカーユニットの会社が主体です。このFoculのユニットは欧州製各種高級スピーカーのユニットとして採用されるほど性能の高いものです。しかしオーディオマニアはスピーカーの銘柄にこだわってユニットの銘柄にこだわらないので、このJM Labの製品の日本での人気はいまいち。このMicron Caratも小さい箱なのに非常に低い周波数まで特性が伸びているものの、暗く重い音色のため売行が良くなかったみたいで、半額ほどまで値下げして売られていたものです。

しかし、スピーカも使いこなしでかなり音色を変えることができます。国立のAudio Unionで処分品として売られていたRogersのスピーカースタンド(上の写真の四本足の台)の足の部分に大理石の砂を詰めこみ、天板にソルボセインで鳴き止めし、おまけにBlack Diamond Racing社のPylamid Corn Spikeで対策をしたら、まあまあ鳴るスピーカーに変わりました。ただ、パワーを突っ込まないと本領が出ないという本性までは変えられません。しかしながら、わたしのところではお上品なAURAで室内楽などを鳴らしています。音色が重いという印象は変わりませんが。

中身に関する記事はこちら

あと、スピーカーケーブルをMonitor-PC社のCobra 4Sから、TARA-Lab社のOmni 2+2 BiWire Speaker Cable(乳白色のケーブル)に交換しました。Cobra 4Sは、透明感のある高域と豊かな低域、潤いのある音色が特徴。ただし音楽を緩めるのでどちらかというと女性ボーカルやクラシック向き。新しいOmin 2+2は名前のとおりBi-wiringのためのケーブルで非常に堅い無酸素銅7芯のケーブルが4本束ねられています。くっきりはっきり系で、そつなくいろんな分野をこなします。Omni 2+2で中高域の弦の繊細さがよく出るようになったので、Cobra 4Sはお払い箱になりました。


背後からみる:

オーディオについてあまり熱心でない人は、機械の表側しかみませんが、マニアな人は表なんかどうでもよくて問題は裏側の端子類だと考えています。どんなに立派なフロントパネルを備えていても、裏側の端子類が貧弱だったらダメです。安物のミニコンの裏側を見てみてください。ポコポコのプラスティックパネルに安っぽい端子がついていて、力を入れると壊れそうだということに気が付くとおもいます。ここが値段の差なんですね。でも、もっとマニアな人は裏側もまあ大事だけど中身が大事だと知っています。人によってはトップパネルを開けさせるというひともいるそうですし、大抵のマニアは放熱用の穴から中身を覗いて良質の部品が使用されているか確認します。


前の写真から差し替えたのでずいぶんわかりやすくなりましたね(笑)。CD-17DにはオヤイデのL/i-50が直結されており、AURAにはEnsamble Sonofluxがついております。CD --> AMP間のインターコネクトは、アメリカから円高のときにわざわざ輸入したCardas Quadlink 5C 1m 。このケーブルは国内ではアメリカの3倍以上の値段で売られていました。オーディオの輸入商社って利幅がおおきいよな。故障しないアクセサリーならAudio Advisorなんていうようなアメリカの通販業者から買った方が絶対に安い。

写真では、下の機械の右側から出ている黒いケーブルがオヤイデL/i-50。上の機械の右側から出ているぶっとい銀色のケーブルがSonoflux。上と下を結んでいる青いケーブルがQuadlink 5C。上の機械から左右に出ている乳白色のケーブルがOnmi 2+2。細い赤の線がデジタル専用アース。細い黒の線がアナログ専用アース。


Electric Piano: YAMAHA Clavinova CLP-250 (改造)

大学学部2年のころ購入した電気ピアノ。音が出る機械ということでオーディオのページに登場。写真からはまったくわからないがKORG社のGM音源が内蔵されており、そのシンセモジュールは写真に写っているノートPCから制御するようになっている。

私は5歳のころから叔母の教室でピアノを習っておりました。でも叔母が私が小学5年生のころ急逝してしまいまして、それっきりピアノは習ってません。でも中学から高校にかけてYMOに狂ったことからキーボード熱が復活。まったくの自己流で自宅のアコピをたたきながらテクノしていたのです。ただ、ピアノをならっていたころ全然熱心で無かったため、楽譜を読むという能力が完全に欠如しており、中学から現在にいたるまで楽譜を読んで曲を弾いたためしがない(笑)。ほとんど耳コピーか自作曲で、しかも「てきとー」にコピーするものだから元の曲がなんだかわからないレパートリーも豊富(笑)。


実は私が著作権の研究に乗りだした動機も「てきとーコピー」が原因。「俺はピチカート・ファイヴの曲をコピーしているはずだが、いま俺が演奏している曲は誰が聞いても別の曲だ。すると俺はこの曲についてコピーだというべきなのか、それともオリジナルというべきなのか?そもそもオリジナルというのは何なんだ?」という哲学的に深遠な疑問から研究が始まった面もある(笑)。だいたい「同一の曲」というのは誰が判定するのだ?裁判官が判定できるのか(笑)? オカアサンの下手くそな流行歌ウソッぱち鼻歌は?


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