●授業の要旨「情報化社会」という言葉が80年代頃から時代のキー ワードとなり、現在もなお着実に進展中である。こうし たなか、これまで法律学のテーマとしては直接的に取り 扱われなかった「情報」に関する一定の法領域が注目を 集めるようになっている。こうした「情報法」として括 られる領域には、複数の法領域が少しずつ関係しており、 範囲が広いものとなっている。また、論者によって対象 としている領域に差があるのも事実である。このため本 講義では、基本的な視点から「情報」と「法」の関わり について解説し、それらの法領域に取り組む際の基本的 視座を定めることを目的とする。「情報法」として議論の対象となる事例は、情報化社 会の進展とともに新たに生じた問題であり、コンピュー タ化等の最新の社会事象にまつわった現象として把握さ れやすい。しかし、法は既に「情報」をさまざまな形態 で取り扱ってきている。憲法においては「言論の自由」、 民法においては「意思表示」「錯誤」、刑法においては 「猥褻」「名誉毀損」「詐欺」等が目に付く。(1)こう した各領域を貫徹する基本原則が存在するか、(2)存在 するならば、それはどのような性質をもち、どのような 限界があるのか、(3)その原則は「情報化社会」におい て変更されるのか否か、を本講義のテーマとする。
●成績評価の方法前期・後期の期末試験によって評価する。加えて、私 のミスを指摘したり不備を補った受講者には、積極的に 加点する。
●テキスト・参考書テキストは指定しない。参考書として、本講義での議 論をよりよく理解するために、太田 勝造 「法と経済学」 商事法務研究会 1990年 があるとよい。加えて、現在の論点を知るのに次の書 籍がよい。 夏井 高人 「ネットワーク社会の文化と法」日本評論 社 1997年 浜田 純一 「情報法」 有斐閣 1993年 堀部 政男 ・ 永田 眞三郎 編著 「情報ネットワーク 時代の法学入門」三省堂 1989年
●受講上の注意事項正解のない問題に対して、さまざまな観点からアプロー チする「手法」を学んでほしい。
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●授業計画前期
後期
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