こんもりした鳥ラグビーとは? / ゲームに用いる道具類 / こんもりした鳥ラグビーの概要 / 基本のプレイ / 反則

こんもりした鳥ラグビーとは?

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理念と特徴

こんもりした鳥ラグビーの基本理念は「紳士的な動物愛護の精神で行う」ことです。一羽のこんもりした鳥を2チームの選手がやさしく保持しあい、こんもりした鳥を持って自陣の「巣」と呼ばれる籠に運びます。この巣に、こんもりした鳥を正しく置くことにより得点が認められます。この得点を「ネスト」と言います。両チームの選手達は、このネストを得るために、お互い紳士的に、こんもりした鳥を保持してグラウンドを駆け回るのです。

次に、こんもりした鳥の扱い方です。こんもりした鳥は、(1) 両手で捧げもって走ること、(2) 小脇にやさしく抱えて走ること、(3) 手で自分より後ろに受け渡す(パス)ことが認められています。このとき、(4) こんもりした鳥のくちばしは、常に自陣の巣の方向を向いていなければなりません。また、全身のどこにこんもりした鳥が触れても問題ありません。

こんもりした鳥の渡し方に特徴があります。それは、こんもりした鳥を投げてはいけない、ということです。こんもりした鳥を渡す場合は、紳士的にやさしく手渡さなければならないのです。また、(5) 他チームのプレイヤーと奪い合いになった場合、3秒以内に相手に渡してしまわなければなりません。蹴飛ばすことはもちろん禁止です。そんなことをしたら鳥は逃げていってしまいます。審判は、こんもりした鳥の気持ちになって、「痛い」とか「苦しい」等を判断し、反則を判断します。

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歴史と展開

Grafham
イングランドの中央部、ロンドンから北に上ったあたりに、グラフハム・ウォーターという湖があります。その湖のほとりにグラフハムと呼ばれる小さな町があります。その町のチャーチ・ヒルという道が湖に向かって伸びるあたりは、19世紀はじめ頃には湿地と草原が接する土地で、秋にはたくさんの鴨が羽を休める場所でした。当然、鴨猟も盛んで、季節になると多くの紳士が自慢の猟銃を小脇に、猟犬を引き連れてここを訪れていました。

1814年の秋頃、居酒屋「鴨亭 Drake Tavern」の主人ジョン・ラウマンのもとに、ロンドンからの狩猟客テオドア・ピアーズが、生け捕りにした鴨を調理するよう持ち込みました。その鴨はとてもよく肥えていてあまり早く逃げられずに、うっかり手づかみで捕らえられてしまったものでした。しかし、当時ベドフォード公爵領には、「猟銃または弓で射られ捕獲された獲物がその狩人のものになる」という条例があったため、ラウマンは、ピアーズの鴨が湿地に返されるべきだと主張しました。もちろん、そんなヘンテコな決まりにこだわるラウマンにピアーズは納得せず、両者は口論となりました。そうして、居酒屋にいた客たちも巻き込んだ騒動となったのです。

ついに、ラウマンは鴨をひったくると、抱えて店の外に走り出ました。ピアーズは彼を追います。居酒屋の客たちも二人を追いかけて店の外に走り出ました。ラウマンと彼を支持する客たちは、ピアーズと彼を支持する客たちの手を振り切り、互いに鴨を手渡しながら水辺まで首尾よく走り抜け、葦の茂みの中に鴨を放り込みました。このとき、「こんもりした鳥ラグビー Ducking / Draking」が始まった、とされています。

Drake Tavern

Grafham しばらくの間このDuckingは、いわゆる原始ラグビーの一種として、グラフハムならではの秋の愉快な暇つぶしとして楽しまれていたようですが、1830年代には廃れていたようです。

当協会は、この微笑ましいエピソードに基づいたDuckingを発見し、これを洗練されたスポーツとして復活させました。ルールにラグビーの要素を大きく取り入れ、それでいて紳士的かつ動物愛護的な穏やかなゲームとして構成したものです。メタボな中高年や、ヒキコモリ気味の虚弱な若者達でも楽しめるスポーツとして、1999年に日本にも紹介されました。

当協会の努力にもかかわらず、2009年においても競技人口は極めて僅かですが、ようやくここに「こんもりした鳥ラグビー」を皆さまに紹介できることになりました。

・William Langden, "The History of Footballs -- from primitive stage to modern games", (Harper & Showter Pub. Co., London, 1901).
・Edward Winslow ed., "The Memories of Grafham", (Webb Pub. Co., London, 1892).


Fat Bird Football Association Japan, 2009.